2024.05.15
こんにちは。
アントアントのメルマガ担当です。
いつもメールマガジン「ここだけは知っておきたい編」をご覧いただき、誠にありがとうございます。
前回は障害者差別解消法の改正におけるWebアクセシビリティの対応について義務となるかどうかについてご紹介しました。
今回は前回の記事での一番の注目ポイントだった『Webアクセシビリティ』とWebサイトを制作する際に意識するべきポイントについて詳しく紹介していこうと思います。アクセシビリティとは、「近づきやすさ」や「利用のしやすさ」「アクセスのしやすさ」などの意味を持つ言葉のことを指します。ITやWebの分野では、製品やシステム、サービスなどの「利用のしやすさ」という意味で使われます。
アクセシビリティという単語について、あまり聞いたことがないという方もいるかもしれませんが、身近なものだと、スマートフォンの設定項目でもある「アクセシビリティ機能」などがあります。
アクセシビリティの中でのWebに特化したアクセシビリティを「Webアクセシビリティ」といいます。
また、前回のおさらいとなりますが、Webアクセシビリティについて、デジタル庁は以下のように定義しています。
”ウェブアクセシビリティは、利用者の障害の有無やその程度、年齢や利用環境にかかわらず、ウェブで提供されている情報やサービスを利用できること、またはその到達度を意味しています。様々な利用者が、いろいろなデバイスや環境からウェブにアクセスすることが当たり前になっている今、ウェブの利用方法の多様化に応えるアプローチのひとつがウェブアクセシビリティともいえます。”
Webアクセシビリティのガイドラインに沿って全ての項目に対応しているというWebサイトはまだ多くはありません。
しかし、Webアクセシビリティ対応を行うメリットとしては以下があげられます。
これらはWebサイトの運営にとって、重要視されている対応の一部です。
そのため、次にご紹介するガイドラインを意識したWeb制作を行うことをお勧めします。
国際的なWebアクセシビリティのガイドラインには、Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)と呼ばれるガイドラインがあります。
これは、インターネットの各種規格を策定・勧告し、インターネットの各種技術を標準化する国際的な非営利団体であるWorld Wide Web Consortium(W3C)が定めたもので、2024年5月現在は、2023年10月の最新版「WCAG 2.2」が公開されています。
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2
日本国内では、日本工業規格(JIS)として制定された、「高齢者・障がい者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス」(JIS X8341シリーズ)という規格があります。
WCAGをもとに制定・改正されているため、日本国内の企業・団体はこちらのガイドラインに沿って対応することでWebアクセシビリティを向上させることが可能となります。
JIS X 8341-3:2016 高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ
ウェブアクセシビリティ基盤委員会 JIS X 8341-3:2016 解説
WCAGは、以下の原則とWebアクセシビリティを向上させるための13のガイドラインと複数の達成基準で構成されています。
そのため、Webアクセシビリティの対応を行う場合、下記の原則とガイドラインに沿って対応すると良いでしょう。
知覚可能
ユーザーにとって知覚(見える・聞こえる)できるかたちで情報が提示されている状態にすること。
操作可能
ユーザーが操作できる状態にすること。
理解可能
ユーザーが操作方法などを理解しやすい状態にすること。
堅牢
ユーザーがどんな環境でWebサイトを閲覧したとしても情報を理解できるような状態にすること。
Webサイト制作におけるアクセシビリティを高めるためのポイントについて、原則ごとの対応例を一部ご紹介します。
ガイドライン
対応例
ガイドライン
■対応例
ガイドライン
■対応例
ガイドライン
■対応例
WCAG 2.2における達成基準は3つのレベルに分けられています。
詳細についてはこちらの「JIS X 8341-3:2016 達成基準 早見表(レベルA & AA)」より確認することができますので、是非ご覧ください。
レベル A(最低限)
この基準を達成していないと、Webサイトを閲覧できない人が存在する可能性があります。
レベル AA(標準)
この基準を達成していないと、Webサイトの閲覧が困難な場合があります。
※多くの国や組織では、このレベルを採用しています。
レベル AAA(最高基準)
この基準を達成することで、すべてのユーザーがストレスなくWebサイトを閲覧することができます。
※このレベルはかなり高いので、全てのコンテンツがこの基準をクリアすることは必須ではなく、できるだけこの基準に近づくよう努力することが推奨されています。
どのレベルまで対応すべきかは、業界やサービスの種類などにもよりますが、一般的的には以下のように推奨されています。
非営利団体・組織
公共機関や政府機関
教育機関
テクノロジー企業
■対応例
警視庁のWebサイト:適合レベルAAに準拠(JIS X 8341-3:2016 附属書JBに基づく試験結果表示より)
大阪市のWebサイト:適合レベルAAに準拠(JIS X 8341-3:2016に基づく試験結果より)
レスポンシブデザインに対応したWebサイトにする
ページにわかりやすいタイトルをつける
テキストの文字サイズや色味に気をつける
画像や動画には代替テキストを設定する
半角カナや機種依存文字、不要な空白は使わない
リンクテキストは曖昧な表現は避け、具体的な内容にする
レスポンシブデザインに対応したデザインテンプレート
ant2 CMSでは、レスポンシブデザインのデザインテンプレートを多数ご用意しています。
レスポンシブデザインに対応することでデバイスの種類や画面の大きさに関係なくWebサイトを閲覧できるようになるため、ご利用いただくことを推奨しています。
詳しくは過去のメルマガの『ant2 OEMサービスで利用できるCMSテンプレートのご紹介』をご覧ください。
見出しの設定・リストの要素の追加
ant2 CMSでは、コンテンツパーツと呼ばれるパーツで見出しタグ(h1~6)を挿入することができます。
また、箇条書きや段落番号をテキストの頭に追加したい場合は、ツールバー機能を使用して簡単に追加させることができます。
Webサイトを閲覧するユーザーにとってわかりやすいページを制作できることは勿論、検索エンジン(Googleなど)のクローラーが理解が理解しやすいWebサイトを制作することができます。
詳しくは過去のメルマガの『Webライティングを助けるant2 CMSの機能について』や『簡単に設定!ant2 CMSのSEO対策(1)-コンテンツ内容をクローラーに伝える-』をご覧ください。
テキストカラーの細かい設定
フルエディタ編集では、ツールバーよりテキストカラーの変更ができます。
また、カラー変更機能でもテキストカラーの変更を行うことができます。
どちらも好きなカラーに変更することができるため、サイトにあったカラーを設定し、ユーザーが理解しやすいWebサイトを制作することができます。
詳しくは過去のメルマガの『新機能!カラーカスタマイズ機能について』をご覧ください。
画像のalt属性設定
通常はHTMLのソースから記述を書く必要がありますが、ant2 CMSではパーツの画像設定やツールバーのイメージプロパティ設定から簡単に画像にalt属性(代替テキスト)設定を行うことができます。
詳しくは過去のメルマガ『alt属性について』をご覧ください。
今回は、WebアクセシビリティとWebサイトを制作する際に意識するべきポイントについてご紹介しました。
Webアクセシビリティの対応については、項目も多いため難しいところも多いかもしれません。
しかし、今回の記事でご紹介したポイントを意識するだけでもWebアクセシビリティを高めることができます。
また、前回の記事では、今回の法改正ではWebアクセシビリティは義務化とはならないとご紹介しましたが、今後いつ義務化となるかわかりません。
是非、この機会に今回ご紹介したポイントを確認し、Webアクセシビリティを意識したWeb制作を行っていきましょう。